近時の労働法改正の概要

改正された法律 主な内容

 労働契約法

(2013年4月1日全面施行)

 ①無期転換ルールの導入 (18条)

 ②雇止め法理の法定化 (19条)

 ③期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止 (20条)

 高年齢者雇用安定法

(2013年4月1日施行)

 ①継続雇用制度の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止 (改正前9条2項削除)

 ②継続雇用制度の対象者基準の経過措置 (改正法附則3項)

 ③継続雇用制度における雇用確保先の範囲の拡大 (9条2項)

 パートタイム労働法

(2015年4月1日施行)

 ①「短時間労働者の待遇の原則」の新設 (8条)

 ②正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大 (9条)

 ③雇入れ時の事業主の説明義務の新設 (14条1項)

 ④相談対応のための体制整備の義務の新設 (16条)

 改正研究開発力強化法(※1)

(2014年4月1日施行)

 大学等および研究開発法人の教員等、研究者、技術者、リサーチアドミニストレーターに係る

無期転換ルールの特例

 有期雇用特措法(※2)

(2015年4月1日施行)

 ①年収1,075万円以上の高度専門職に係る無期転換ルールの特例

 ②定年後引き続いて雇用される有期雇用労働者に係る無期転換ルールの特例

 

(※1)「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関

    する法律の一部を改正する法律」(平成25年法律第99号)

(※2)「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」(平成26年法律第137号)

 

 

2013年4月に改正労働契約法が施行され、有期労働契約の無期転換制度が新たに創設されています。 この無期転換制度が設けられた趣旨としては、有期労働契約が反復更新され、雇用継続の期待を有する有期雇用労働者の雇用の安定を図ること等が挙げられています。 有期契約期間が5年を超えるか否かの算定は、2013年4月1日以降に締結・更新される有期労働契約からが通算の始期とされるため、実際に有期契約労働者から無期転換の請求が生じ得るのは、最短でも2018年4月1日以降となります。

いよいよ無期転換制度の本格的な施行まで3年弱となり、各社ともに無期転換制度を見据えた有期雇用管理を検討する必要性に迫られているところ、昨年末の臨時国会において成立したのが 「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」 (「有期雇用特措法」)です。

同法は、高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者および定年後引き続いて雇用される有期雇用労働者が、その能力を有効に発揮し、活力ある社会を実現できるよう、これらの有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する特別の措置が行われる場合、前述した無期転換制度に関する特例 (通算期間の算定方法) を設けるものです。 この特例は、特例の対象労働者に対する雇用管理に関する措置についての計画を作成したうえで、所管の労働局に提出し、認定を受けることで適用されます。

 

出典 : ビジネスガイド 2015年5月号(No.804)